キョウノキューブ
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京都 町屋を見た
- 2011/03/04 (Fri)
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かねてから一度行ってみたかった
京都の町屋を見学してきました
「うなぎの寝床」とも呼ばれる商家独特の間取りですが
築100年という町屋を維持し、こうして公開しているオーナーは
どなたも文化的な意識が高く、町屋の歴史から当時の暮らし方など
大変興味深いお話を聞かせていただきました
(以下、画像は3軒の町屋をランダムに使用しています)
まず、美しい格子のファザードをくぐってお店へ
当時、実際に商売に使われていた店舗棟です
入口の格子戸の外側には
もうひとつ、もっと重くて太い格子でできた言わば「シャッター」になる扉があり
大きな滑車でゴロゴロとひっぱり開け閉めします
お店がお休みの日などは
入口を開けてこの「シャッター」だけを閉めておくと
防犯と風通しを兼ねた機能的な扉だったのかと思います
お店の奥には玄関があり、ここには小さな坪庭があります
来客を迎え入れる家人のセンスとおもてなしの心が伺えます
玄関の奥には走り廊下といわれる土間がずっとつづき
ここに「おくどさん」(台所)があります。
台所は、吹き抜けになっており
かまどの湯気や熱気を屋根の外へ逃がしているうえ、採光を取っています
また、キッチン以外の他の部屋も同様で、収納はすべて造り付家具
いわゆる壁面収納で部屋の広さに合わせてつくってあり
家具を置かずとも美しく収納できるように工夫してあります
この収納には、たくさんの御膳箱が入っており
このふたをひっくり返して御膳として使っていたわけです
それにしても、お膳を重ねた大きさにピッタリサイズです
かまどで使う炭もコンロの下の引き出しに収納できるようになっていました
台所からさらに奥へと行きます
上吊りの引き戸を開けると、奥にも壁面にたくさんの扉が
当時は、食品ストックや倉庫として使っていたとか、、
今は冷蔵庫や洗濯機がすっぽり入って素敵な目隠し収納です(笑)
さて、走り廊下を通り抜けると
中庭があり、その先にトイレ、蔵というのが町屋のスタンダードスタイルです
中庭はどの部屋からも眺めることができ、外からはまったく知りえなかった
情緒が家の中で広がっています
町屋には「夏のしつらえ」というのがあり
軒先にはすだれを掛け
通りにはよしずを下げます
また、室内では襖は簾戸(すど)という、風通しのよいものに替え
畳には大きな網代を敷き詰めます
残念ながら、2月ですのでこのしつらえを見ることはできませんでしたが
節分の時期に敷くという、赤や緑や黄色のカラフルな敷物を
畳の上に敷き詰めているお宅がありました
季節に合わせて、部屋を模様替えをするというのは
機能だけでなく、生活を楽しむおしゃれ心ですね
また、中庭に打ち水をすると、その気圧差で
うなぎの寝床といわれる長い室内や走り廊下に、空気の流れが生じ
風を室内に取り込むことができるのです
こうして
ひとつひとつに意味があり、簡素でありながら
機能美を備えているのが日本建築のすばらしさで
この美意識が今も日本の建築の基軸になっているという気がいたしました
それにしても、今回の旅では町屋のほかにも
お寺や宮殿などをいろいろと見て回りましたが
どこもかしこも、天井が高いことにびっくりです。
いつから、日本の住宅の天井は低くなったのでしょうか?
そして物に囲まれる生活になったのでしょう(笑)
欄間(襖の上の部分)を開け放すと、明るくて
余計な家具のない開放的な空間が広がり
どの部屋からも中庭を望み、四季を感じる
そんな、日本家屋の美スタイルを堪能してきた旅でした
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